2008年11月22日

虚夢

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娘を殺した犯人が目の前を歩いている!
愛娘を奪い去った通り魔事件の犯人は「心神喪失」で罪に
問われなかった。運命を大きく狂わされた夫婦はついに
離婚するが、事件から4年後、元妻が街で偶然すれ違ったのは
忘れもしない「あの男」だった。
不起訴処分となった通り魔犯と街で遭遇したといい、過去からの
苦しみに苛まれて不可解な言動を強めていく元妻。
彼女が見たのは本当にあいつなのだろうか。
元夫に出来ることはひとつしかなかった・・・・

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「精神障害者」の犯罪がテーマの本。
加害者側、被害者側、また彼らを取り巻く人物など
色々な登場人物の視点から物語が書かれている。
一方の立場に片寄る事なく書かれているので
内容的に重いものがあるのだが
非常に読みやすくなってると思う。

決して、この話、人事ではないと思う。
「精神障害者」という言葉は
ニュースでもよく聞くし
この先いつ、何時自分がその渦中に
巻き込まれるか。。
巻き込まれないという保証は絶対にないのだから。
こういう事を思うと
自分だったら・・・とつい考えずには居られない。
加害者側になっても被害者側になっても
どちらも辛く、想像する事が難しい。。

「正常」と「異常」の境界。
誰がどのような基準で判断するのか?
これもまた、重いテーマの1つで。。
「異常」と判断されたとしても
本当にそれは正確な判断なのか?
色々考え始めるとキリがなく
本当に怖いなぁと感じた。

★★★★+☆

ラベル:読書 薬丸岳
posted by ゆき at 16:24| Comment(0) | TrackBack(2) | 薬丸岳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月27日

闇の底

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少女を犠牲者とした痛ましい性犯罪事件が起きるたびに
かつて同様の罪を犯した前歴者が首なし死体となって
発見される。身勝手な欲望が産む犯行を殺人で
抑止しようとする予告殺人。狂気の劇場型犯罪が
日本中を巻き込んだ―。絶対に捕まらない―。
運命が導いた、哀しすぎる「完全犯罪」。

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前作「天使のナイフ」程のインパクトを
私は感じる事が出来なかった。
でも、一気読みは一気読み。さすが。

ミステリーというよりは
物語に複数出てくる登場人物の心理描写が
中心になっている。
なぜなら、物語に出てくる予告殺人を行う
「死刑執行人、サンソン」が物語の
3分の2程も読めば予想がついてしまうのだ。

心理描写は犯人を追う刑事
そして犯人と両方の視点から書かれていて
どれもこれも重いテーマを含んでいる。
ただ、犯人の心理描写がもう少し欲しかったかな。

物語の途中で出てくる「劇場型犯罪」という言葉で
「犯人に告ぐ」を思い出し
本を読み終わった後では、映画の「セブン」を思い出した。
この本以外に連想が飛んでしまったのが残念。

そしてラストのラスト、あっけなく感じた。
ラスト一歩手前までは良かったんだけどなぁ。。

「闇の底」というタイトルは
この本にはどんぴしゃりだと思った。

この本も「天使のナイフ」同様
読み終わった後は考える事になる。

★★★☆☆





posted by ゆき at 19:25| Comment(0) | TrackBack(6) | 薬丸岳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月03日

天使のナイフ

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生後五ヶ月の娘の目の前で惨殺された妻・祥子。
夫・桧山貴志は耳を疑った。犯人は、十三歳の少年三人。
四年後、犯人の少年の一人が殺され、桧山は疑惑の人となる。
少年たちの事件後を追う桧山に付き付けられた
信じがたい真実、恐るべき過去――。

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少年犯罪がテーマの物語。
最初、そうだと分かった時に正直「またかぁ」と。
この手の話はゴロゴロしてるもんだから
江戸川乱歩賞もどういうつもり?などと
なめて読んでいた。

しかし、私のこの気持ちは読み進むにつれ
全くなくなり、強烈に物語に惹きこまれていく
自分を自覚しない訳にはいかなくなっていた。

スピード溢れる文章、緻密に作られた幾多もの伏線。
最初は単純に解決できるかに見えた事件が
実は二転三転するストーリー。
一時の油断も許されない。何気なく読んでると
大事な部分を見逃してしまうだろう。
気が抜けない作品。

加害者・被害者両方からの視点や心理描写も
巧みで、どちらにも感情移入してしまう。
ひとつひとつの出来事やストーリがうまく
絡み合ってると思う。
ただ、こんなに被害者・加害者が絡まった事件が
総て綺麗に出揃うのは出来すぎのような気がするが。。

リアリティーもありミステリーも楽しむ事が出来る。
ラスト、複雑に絡み合った糸が
解きほぐれていく瞬間は読み応え十分。

それと同時に現在の少年法の欠点も見えてくる。
読み終わった時には満足感を味わうと共に
少年法という物を考える事になるかも。

これがデビュー作とは信じがたいほど。
受賞に納得。
今後の作品も期待大!

★★★★★







posted by ゆき at 16:33| Comment(4) | TrackBack(5) | 薬丸岳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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