2006年06月19日

天使がいた三十日

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その愛は、雪のように白く儚く
しかしそれ故に、心に沁みわたる。
メリー・クリスマス。
あのときの夏乃は、これから何回……いいや
何十回もそのセリフを口にできると
信じて疑わなかったことだろう。
それは、私も同じだった。
微かに萌芽(ほうが)の兆しをみせていた生命の木が
ふたたび、内部から朽ち果ててゆく……。
衣擦(きぬず)れの音に続いて背後に気配を感じた。
私は、振り返った。万年床の上で、四肢を震わせながら
マリーが懸命に立ち上がった。
半開きに開いた口からだらりと舌を伸ばし
荒い息を吐きながら、潤む瞳で私を見上げていた。
私に向かって足を踏み出そうとしたマリーの躰が
ぐらりと揺れた。「おい、マリー!」静寂を切り裂く絶叫と
ともに、マリーがスローモーションのように崩れ落ちた。
<本文より>

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新堂冬樹の「純愛シリーズ?」と言えるものは
読破してるつもり。
今回も純愛といってもいいような気がするが
この作品、好き嫌いがハッキリ分かれると思う。
私はちなみに良かったと思った方。
ただ「お涙ちょうだい」だなと感じる部分も。
それでも、全体的に優しい雰囲気に包まれてる本になっている。
「泣ける」人と「泣けない」人にも分かれる本だと思う。

★★★+☆☆




posted by ゆき at 22:50| Comment(0) | TrackBack(2) | 新堂冬樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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